ELITE LADIES CLUB · STORY · 彼女の夜

第2章 · 扉を開ける

扉の向こうは想像より静かだった。看板の光もなく、人の声もなく、先に待っていてくれたコンシェルジュの灯りと、温度のちょうどいいお茶一杯だけがあった。

第2章 · 扉を開ける

まず座ってください

コートは預かられ、靴は履き替え、スマホは預けた。彼女は茶席のそばに座った。蝋燭の光は低く、コンシェルジュは今夜の順序をゆっくり話してくれた。まず足湯、次に香りを選び、それから部屋へ。どの一歩も変えていいし、どの一歩も省いていい。

香り選びで彼女はイランイランを選んだ。コンシェルジュは頷き、彼女のファイルに最初の一行を書き入れた。イランイラン、お茶は熱く、会話は少なめ。そのペンが落ちるのを見て、彼女の心のどこかがそっと動いた。

横になる前に

部屋では、セラピストがまず境界線を一つひとつ確認した。今日は背中と脚、肩と首だけ。圧は軽くから。不快ならすぐに言うこと。彼女は頷きながら、親友のあの言葉の意味をふと理解した。「自分を委ねる」とは支配を失うことではない。誰かがコントロールを明確に彼女の手へ返してくれるからこそ、手を放す勇気が出るのだ。

お湯に足を浸す十分のあいだ、彼女は二度眠った。

まだ決められなくても、大丈夫。

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